蝶になった白河君と飲み過ぎた歓迎会

21/31
前へ
/88ページ
次へ
「白河君って、ホントにコネ入社じゃないの?」 「でもいずれ、社長になるよね?  だって白河会長がついてるんだよ。  和田(わだ)社長もさすがにかなわないでしょ」 「いやー、専務も『和田派』だろ? 結構勢力強くないか?  息子の和田君もいるし……」  社内の派閥争いは、主に役職付きの人たちの話であって、私は関係ないように思えて興味ないけど、みんなこういう話って好きだな。   「グループ長は、『白河派』と『和田派』のどっちなんですか?」  豊崎(とよさき)グループ長は、テーブルの端の方で真っ赤に酔っぱらった顔をして、エビフライを食べながらイモ焼酎を飲んでいる。 「んー、俺はなぁ……『豊崎派』だなぁ」 「あぁ、いいね。豊崎派。平和に酒が飲めそうで」  長くレイエスフーズで働いてる江崎(えざき)先輩が相づちを打つと、みんなも『豊崎派』がいいと口々に言い、豊崎グループ長はお酒で感情のコントロールが壊れちゃったのか、ガチ泣きしていた。
/88ページ

最初のコメントを投稿しよう!

94人が本棚に入れています
本棚に追加