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「グループ長、そんなに泣かなくて大丈夫だってば。
リテールにいる白河君も『豊崎派』よ!
その白河君がきっと、おじい様の強力なプッシュで社長になるから」
しょっちゅう玉の輿に乗りたいと言っている花岡先輩が、豊崎グループ長の所まで移動して背中をバシバシ叩きながら、白河君に「ねぇ」と同意を求める。
「俺は、祖父の力を借りずに入社することが条件で……」
「お待たせしましたーっ。当店名物、黒毛和牛の蒸し焼きでーすっ」
白河君の言葉は、ビュッフェ以外の注文品を運んできた元気な店員さんの声にかき消された。
美味しそうな湯気を立てる料理に、みんなの目線もそっちへ移る。
「ほら、皆さん美味しいお肉食べてくださいよ。
グループ長は、またイモ焼酎の水割りがいいですか?
ビールのおかわりいる人ー?」
私は人数分を小皿に取り分けて、みんなの飲み物をとりに行き椅子に座り直した。
ふー、やれやれ。
私が注いできたビールジョッキを口に傾けていると、おもむろに白河君が口を開く。
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