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幹事の役目は一次会だけで終わり、二次会は先輩が行きつけのダーツバーへ数人で行くことになった。
「行こうか、白河君」
「……はい、紅先輩」
少し目を細めて私を見た白河君は、何か言いたそうにしていたが、何も言わず夜の繁華街を歩きはじめる。
金曜日の夜は、特に酔っぱらいや道行く人も多い。
だけど、背が高くて私にぴったりとついてくれている白河君がいると、安心して街の中を進めた。
歩いている途中で足元がよろけた私は、べろべろに酔ってふらついてる中年のサラリーマンとぶつかりそうになる。
「危ないっ」
とっさに白河君が肩を抱き寄せてくれて、なんとかぶつからずに済んだ。
「ご、ごめん、白河君」
しっかりとホールドされた肩が恥ずかしくなって、謝りながら白河君の腕からすり抜ける。
「紅先輩、フラフラしてますけど、本当に大丈夫ですか?
もう送って行きましょうか?」
立ち止まって真剣な顔で言われて、思わず『うん』と言いそうになってしまったが、我慢した。
「大丈夫よ。白河君の歓迎会なんだし、最後まで付き合わなきゃ。
あ、みんな先に行っちゃうよ」
私は笑って小走りに先輩たちを追いかけたが、ちょっと早く動くと余計酔いが回った。
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