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二次会で使うダーツバーは、おしゃれでアメリカンチックな店内で、本格的なバーカウンターを備えており、カクテルメニューも充実している。
以前もこうやってリテールグループのみんなと来たことがあった。
「白河くーん。 ダーツやろう」
先輩たちは、すっかり白河君のことを受け入れてくれたみたいで、ダーツに誘って手招きした。
「向こう行ってきなよ。私は、こっちで花岡先輩たちと飲んでるね」
白河君は私を心配そうに見ながら、男性の先輩たちの輪の中に入っていく。
「白河君ってさ、ちょっと暗い子かと思ったけど、イケメンで高学歴で、実は会社の御曹司って、かなりハイスペじゃない?」
「毎日、お弁当持ってきてるよね? 自分で作って来てるんだって。
料理もできるとかポイント高い」
女性陣はダーツには加わらず、バーカウンターに近いテーブルに集まって飲み直している。
私もその中に入るが、話題は白河君のことばかり。
なんとなく、白河君のことをウワサされて、誇らしいような、嫌な気持ちがするような……複雑な気分になった。
「ねぇ、紅ちゃんは、本当に白河君のことなんとも思ってないの?」
聞かれて、一瞬戸惑う。
いや、なんで戸惑うんだろう。
白河君はただの後輩で、私は教育係。
しかも私には一応彼氏がいるんだし……。
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