二日酔いの朝は溺愛の始まり

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「いやいやいや。 ちょっと待って、白河君。  いったん整理させて……。  っていうか、私、言ってなかったけど彼氏がいるの。  だから付き合えな……」 「知ってるよ」  私が言い終わらないうちに、白河君が言葉をかぶせてきた。  毛布を握りしめて、白河君の抱擁(ほうよう)をほどくように身体を揺らすが、全然離してくれない。   「だけど、全然会えないんだろ?  大手の建設会社に勤めてて、連絡してもスルーされるし、あっちが都合のいい時しか来ないし、身体だけしか求められなくて、外でデートもしたことないんだよな?」  白河君は少し怒ったような声色(こわいろ)で、くるまった毛布から一筋(ひとすじ)はみ出した私の髪を、そっと手に取って優しく毛先を(もてあそ)ぶ。  細身で色白な白河君は、一見弱そうなのに、私が毛布の内側から白河君の腕を押してもビクともしなかった。 「な、なんで知ってるの?」 「全部、桃花が言ってたけど」  あぁぁ。  記憶がないって、本当に怖い。
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