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「ホント、紅ちゃんは可愛いのに真面目で奥手だなぁ」
ため息をつき眉を下げて笑う花岡先輩に、首を傾げて愛想笑いしながら、カクテルのメニュー表を見る。
あぁー、なんか気持ちがモヤモヤする。
なんでだろう?
飲み過ぎたせい?
それとも白河君の腕に触ろうとしている、知らない女の子のせい?
相変わらずダーツ組の方では、女性たちが楽しそうに笑いながら白河君の周りを囲んでいた。
私はその様子を極力見ないようにして、店員さんに注文する。
「このロングアイランドアイスティーってカクテルください」
アイスティーっていうくらいだから、たぶんそんなに強くないお酒だよね?
ちょっとアルコールをセーブしよう。
注文したカクテルは、紅茶みたいな味がしてスイスイ飲めて美味しい。
だけどすっきりしない心持ちは変わらなかった。
なんで白河君の隣に女の子がいると、こんなに嫌な気持ちになるの?
2杯目も同じカクテルを頼み、3杯目……も、たぶん飲んでたと思う。
ハッと気がついたのは、バーのトイレに座り込んで、全部戻している時だった。
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