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桃花の口から出たのは明らかに男性の名前だった。
で、そいつより俺の方が?
何なんだろう?
すごく続きが気になるが、桃花は気持ちよさそうに眠っている。
もしかして、桃花には彼氏がいるのか?
全然そんなことを言ってなかったし、彼氏がいるような雰囲気も、噂もない。
俺としたことが、大事な部分をリサーチ不足だった。
「駿哉って、誰?」
鎮まっていく下半身と、嫌な胸騒ぎのなか、低い声で桃花に尋ねた。
「駿哉さんは……一応、私の彼氏……だけど」
桃花は薄く目を開けて、眠たそうに瞬きをくり返して答える。
予感的中。
そりゃそうか……。
こんなに可愛い桃花のことだ。
恋人がいない方が、おかしい。
俺は意気消沈して、柔らかい桃花の髪を撫で続ける。
「だけど、大手の建設会社に勤めてて忙しいって……私からの連絡は既読スルーだし、外でデートとかもしたことなくて……」
は? 何?
駿哉ってヤツ、桃花からの連絡をスルーするとは、何様のつもりだ。
「駿哉さんの、都合がいいときしか、来ないし……エ、エッチしたらすぐ帰るし……これって彼女じゃなくて……」
桃花の目尻から涙がこぼれて、桃花は指でぬぐう。
会ったこともない駿哉に、俺は怒りが頂点に達した。
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