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「はい、彼氏ですね。承知しました……」
桃花は目を閉じたまま幸せそうに笑って頷く。
だが、まるでお客様への返答のようで、なんかおかしい。
「すぅー」
寝息が聞こえて、桃花はまた眠ってしまったようだった。
俺の、15年分の告白は、成功?
それともノーカウント?
いや、だけど桃花の了解を得たという事でいいんだろうか?
ーーーー
「あ……送ってくれて、ありがとうございました……」
俺のマンションに着いて、タクシーを降りた桃花は、何とか立っているがフラフラしている。
「すみません、紅せんぱ……桃花。
とりあえず俺のマンションですけど、ちょっと休んでいって」
ぎこちなく敬語とタメ口が入り混じった。
やっぱり、彼氏だと、敬語じゃ変だよな?
『桃花の彼氏』となるべく、俺は後輩感を消して桃花に接しようと意識する。
桃花を支えながら歩き、扉を引いて開け、マンションのエントランスに入った。
カードキーを取り出そうとしていると、桃花がバッグから俺が持っているのと同じ色のカードを取り出す。
「うぅーん? ここ……私が住んでるとこ……3階の302号室」
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