俺は桃花の彼氏になりたい

6/9
前へ
/92ページ
次へ
「はい、彼氏ですね。承知しました……」  桃花は目を閉じたまま幸せそうに笑って(うなず)く。  だが、まるでお客様への返答のようで、なんかおかしい。 「すぅー」  寝息が聞こえて、桃花はまた眠ってしまったようだった。  俺の、15分の告白は、成功?  それともノーカウント?  いや、だけど桃花の了解を得たという事でいいんだろうか? ーーーー 「あ……送ってくれて、ありがとうございました……」  俺のマンションに着いて、タクシーを降りた桃花(ももか)は、何とか立っているがフラフラしている。 「すみません、(くれない)せんぱ……桃花。  とりあえず俺のマンションですけど、ちょっと休んでいって」  ぎこちなく敬語とタメ(ぐち)が入り混じった。    やっぱり、彼氏だと、敬語じゃ変だよな?  『桃花の彼氏』となるべく、俺は後輩感を消して桃花に接しようと意識する。  桃花を支えながら歩き、扉を引いて開け、マンションのエントランスに入った。  カードキーを取り出そうとしていると、桃花がバッグから俺が持っているのと同じ色のカードを取り出す。 「うぅーん? ここ……私が住んでるとこ……3階の302号室」
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!

95人が本棚に入れています
本棚に追加