二日酔いの朝は溺愛の始まり

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「とりあえず、そいつとはもう会っちゃダメだ。  桃花を幸せにできるのは俺だけだよ」  長い脚の間に挟まれて、しっかり抱きしめられた私はどうやっても逃げられない。 「桃花。  昨日も言ったけど、俺は桃花のことが好きだ。  俺と付き合おう」  ド直球な告白をされて、私は目をぱちくりと(またた)かせ、白河君の顔を見る。  切羽詰まったような真剣な顔がこれまた美しくて、私の心臓が不整脈を起こしそう。 「……それでさ、さすがにもう限界なんだけど……」  白河君は、甘くつぶやいて黒縁メガネを外した。  王子様みたいな整った顔が、近い近い近い!  目を軽く閉じて、キスしようとする白河君に私は慌てる。 「ちょ、ちょ、ちょっと待って!  なんでこうなったか、ちゃんと説明して。  後輩としか見てない白河君と付き合うなんて、絶対ムリだよ」  私は顔を毛布に伏せて抵抗し、白河君は腕を緩めた。 「絶対ムリだなんて言われると、絶対俺のことを好きだって言わせたくなるよ」  優しくささやかれたイケボに、私の顔も身体も熱く火照(ほて)る。    たった5日ほど前に出会った後輩に、とんでもない醜態(しゅうたい)をさらしたあげく、グイグイ迫られているなんて。  新人指導係として、どうしたらいいの?  あー、頭痛い。  
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