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首をかしげながら、桃花は慣れた感じでカードキーをかざしてオートロックの自動ドアを開ける。
「えぇっ! 本当に?」
俺が住んでるのは14階。
大学時代に住んでいたマンションから、少しシーズンをずらして2か月前に引っ越してきた。
こっちの方が、会社に通勤しやすい。
まさか、桃花も同じところに住んでいたなんて。
全然気がつかなかった。
俺たちって、こんなに偶然が重なるなんて、やっぱり結ばれるべき運命なんじゃないだろうか?
エレベーターに乗って、3階のボタンを押す桃花の手を止めた。
「俺の部屋に行こう、桃花」
下心があるかと言われれば……ものすごくあるが、それよりもこの泥酔状態の桃花を1人で部屋に帰すのも心配だ。
14階までエレベーターが上昇する間、俺の胸にもたれて桃花はウトウトとゆっくりした瞬きを繰り返す。
可愛い……。
桃花は俺に、何度可愛いって思わせるつもりなんだよ。
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