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「……どうしよう」
おろおろしながら伊織さんの寝ているベッドの横をウロウロしている。
「……隼人。大丈夫だから」
苦笑いで言われても、その息は荒くて、顔も赤い。
「だって、だって、僕、看病なんてしたこと無いよっ」
「いや、隼人は何もしなくていいから」
「でもっ、でもっ、僕、お、お、お嫁さんだし……」
顔が赤くなるのを感じて伊織さんに背を向けて俯いた。
先週結婚式を終えたばかりで、まだ馴れない。屋敷の中では普通の格好でいられるが、出かけるとか、来客時には『撫子』にならなくてはならない。今は、お医者さんがやってきていたから白いブラウスにスカートを履いて、髪もロングにしてある。
「ただの風邪で熱があるだけだから大丈夫だよ」
伊織さんは普段よりもさらにおっとりした口調でそう言うと、布団から手を出して、僕の服を引っ張った。
僕は振り返って寝ている伊織さんを覗き込む。
「お水いりますか? ご飯食べますか?」
「お水は飲んだばかりだし、ご飯もさっき食べたよ」
だけど、熱は下がらない。
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