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巧はいつもより早く家を出て、バス停に向かう。田舎のせいもあるが、普段なら何人かいる同じ高校生も見当たらない。
巧は一人でバス停に座ってバスを待つ。
心地よい春風と、爽やかな青空。
いつも通りの風景。
自分の悲しみだけが、世界から取り残されているように感じた。
ーーミズハラナオミさんは、本当に死んでしまったのかな。
信じられないよ、と思いながら、やってきたバスに乗る。
まだ誰もいないバス。
巧は一人でバスを降りて、普段通り学校へ向かった。
何も変わらないことが信じられなかった。
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