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「だから言ったでしょう」
父は諭すように言った。
中間テストの結果が返ってきた。
入学直後の校内実力テストで学年二位だった巧の成績は、十位まで落ちていた。
中学の頃とは母集団の大きさが違うとは言え、巧は生まれて初めて取った二桁順位に、悔しくて仕方ない。
涙が出そうなのをぐっと堪えると、拳がブルブル震えた。
「そんなに悔しいと思うなら、今度から予習復習を毎日きちんとして、テスト前にはテスト勉強をするんだよ? 努力した人には敵わないって、今回でわかっただろ?」
「……はい」
巧は震える声をやっと絞り出して返事をした。
父は、少し深く息を吐く。
「まあ今回は、ゲームのせいだけじゃなくて、君は何だか落ち込んでたみたいだから、そのせいもあるのかもしれないけど……」
ーーお父さん、気づいてた?
巧はリュウのことが気になって、ゲームをしていてもあまり楽しくなかったし、勉強しようと机に座っても、リュウのことばかり考えて集中できなかったのだ。
「まあ、でも」
と、父は優しく言う。
「泣いて悔しがるくらいの根性があるなら大丈夫だよ。次から頑張りなさい」
「べ、べつに、泣いてませんけどっ!」
「はいはい」
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