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 翌朝、学校でホームルームの前にセネカを読んでいると、後ろの席の塚本(つかもと)くんが話しかけてきた。  塚本くんは出席番号が巧の隣で、高校で最初に仲良くなった友達だ。 「昨日、SNS更新してたね。読んだよ。なんかカッコよかったな」 「本当!?」 「うん。主人公が去るところがカッコいいよ」 「ありがとう!」  巧は嬉しくなって言った。 「僕、今、この本読んでるんだ。それで思いついた話なんだ」 「へえ。どんな本? なんか難しそう」 「うん、難しいんだ。僕もまだ、途中までしか読んでない。でも、読みにくくはないよ」 「図書室にあるかな?」 「あるかもしれないよ。読んでみて! それでさ、また感想聞かせてよ」 「わかった。探してみる」  塚本くんと、本の感想を話し合えたらいいな、と、巧は思った。  一日その本の続きを読んで、巧は思う。  ーーなんだ、やっぱり人の役に立つことは大事なんだな。セネカもそう書いてるや。  そのために、英知が必要なのだ。  ーー新しいお話を書きたいな。全部読んだら。
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