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「ちなみに、あんたは犯人の目星付いてんのか?」
ダイニングを出て、銃を構え直したバージル。向かい側の執務室や応接室の中を確認しながら、後ろに居るアルカードへ問い掛けた。
彼から返ってきたのは、あらゆる事全てを想定した答え。
「まだじゃ。吸血鬼が屋敷に侵入してきたのは犯人も予想外の事で……もしかしたら死んだ者の中に犯人が居たかもしれんとは思っておるが」
応接室から出た後は、談話室の扉を俊敏に開けて中を確認。
「そこまで考えてたのかよ」
荒らされた跡も、人影もない室内。ドアを開けたままにし、バージルは気を緩めた。
上半身裸のアルカードは壁に背中を預けていたが、姿勢を正す。
「当然じゃ。何か大きな手掛かりでもない限り、目星は付けられん」
「俺は一人だけ、怪しいと思ってる奴が居る」
深く考えている彼の参考になればと、心当たりを述べた。
「ほぅ、それは誰じゃ」
アルカードも興味深々。なので、自信ありげに発言した。
「シャノンの野郎だよ」
その名を聞いた途端、アルカードの表情は不安げになる。
そんな事は気にも留めず、バージルは相手の動機を熱く語った。
「あいつはNo.2で、動けなくなったレックスを邪魔に思ってた。あの冷血漢ならやってもおかしくないだろ」
腕組みしたアルカードは、残念なものを見る様にバージルを見下ろした。
「……呆れた。それはお前がシャノンを嫌っているからそう見えるだけじゃろ。あいつはその様な男ではない」
自信のあった推理に文句を付けられ、バージルはむっとする。
「なんでそんな事言えんだよ。前から思ってたけど……ジジイはシャノンの肩持つよな。俺とあいつはわかり合えるとか言うし」
何故嫌いな相手に肩入れするのか理解不能で。バージルは面白くなさそうにそっぽを向く。
アルカードはそんなバージルを置いて前に進み、階段を降りていった。
「それは当然じゃ。シャノンとお前さんは……」
階段を降りていく彼の説明を嫌々待っていたが、話は突如中断。
肝心な所で話が終わったから、バージルは怪訝な顔で後を追い、階段を降りた。
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