急拵えのパートナー

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「ここには血の匂いを嗅ぎ付けた吸血鬼達が集まってきているから、そいつ等を片付けながらになるがな。まぁ、お前の仲間が残っているだろうから、なんとかなるだろうが……」 「血って……レックスの血か? それとも、こいつ等の血か?」  床に倒れている非戦闘員二人の痛ましい姿を改めて目にした。  自分がもう少し早く起きていれば防げたかもしれないと、バージルは心の中で自分を責める。  アルカードはその辺に転がっていたクロスを引っ張ってくると、それを丁寧に彼等に被せた。 「レックスは棺に入れられ、今はシェルターに保管されておる。シェルターでマルテルが綺麗に身体を拭いてやっていたから、レックスの血だとは考えにくい」 「そうか……」  こういう時で寂しさもあるが、自分の相棒に対する配慮に少々の嬉しさがあった。  シェルターに居るならマルテルは安全だと、胸を撫で下ろして薄く微笑む。 「この子等の血の匂いのせいもあるだろうが……今は何故だか血の匂いが濃い。他に負傷者が居るのかもしれん」  その言葉で、バージルは悔しそうに呟いた。 「No.10が、死んだんだ」 「何……」  驚いた様子で振り向いたアルカードと目線を合わせ、拳を握り締めた。 「俺の手錠を外しに来てくれたけど、身体には何度も刺された様な痕があって……そのまま」 「なんて事をっ……」  傷付けた者に嫌悪を抱いたらしく、語気を強めていた。  でも、その感情を一旦仕舞って、アルカードは今までの経緯を口にした。 「儂は、シャノン達が任務に出掛けた後に、シェルターでマルテルから話を聞いたんじゃ。スコーンを届けに行ってお前さんの様子を見た時は、あんな事をする様には思えなかったと」 「マルテルが……」  目撃者にはなったものの、自分の罪を疑ってくれていた。その事実に少しほっとする。 「儂の血の匂いがレックスからした事もあって、健康診断で採取されたであろう血の予備を執務室に探しに行った。その時は儂の力も戻っておらず、吸血鬼の気配も察知出来ず。この事態に逸早く気付く事は出来なかった」
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