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元々ジジイだった彼があんな風になってしまって、バージルの心中はなんとなく複雑。
「バージル」
慣れるまでに時間が掛かりそうだと思っていた時に、アルカードの声がした。軽く振り返る。
「なんだ、終わったのか?」
「あぁ」
アルカードはマルテルを抱き上げて立ち上がると、彼をドアから離れた場所へ再び寝かせた。
「すまないが、儂のサイズの服とマルテルに掛ける布を倉庫から持ってきてくれ。儂は一応、シェルターの中を確認する」
「じゃあ俺も一緒に……」
「いや。お前さんがシェルターへ入れば、嫌でも棺に目が行くじゃろ。今は見ない方がいい」
「あ……そうか」
シェルターには、棺に入ったレックスが保管されている。見れば心が乱れるかもしれないと自分でも思い、声が沈んだ。
切り換えなければと、暗い表情を真面目なものに改める。
しかし、吸血鬼の彼がシェルターに入る事には疑問が湧く。
「じゃあ行くけど……扉に銀の装飾あるのに入れるのか?」
「閉まっていたら容易に触れられないだけで、開いていたらなんの効力もない。それじゃあ、良い布と服を頼むぞ」
アルカードは、真っ暗なシェルターの通路に消えていった。
彼の話を聞いたバージルは納得し、玄関近くの武器庫兼倉庫へと入っていった。
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