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今ではここに住む青年達を孫と呼び、皆からはジジイと慕われる存在だ。
バージルも家事をやる様になってからは、ジジイとよく話す様になっていた。
最近は専ら、相棒についての話が多かった。
「それよりも、レックスの事はどうなんじゃ」
「……さぁな」
突然素っ気なくなり、暗い表情で芋の皮を剥き始めたバージル。
そんな彼を一瞥して、ジジイはこの場に居ない二人のフォローを口にした。
「エリヤもシャノンも、お前さんの為に言ったんじゃろ。二人を恨んでやるなよ?」
すると、不満そうにバージルは眉根を寄せ、唇を突き出しながら文句を言った。
「エリヤはそうだろうが、シャノンの野郎はちげぇよ。あいつは本当に冷てぇ奴だよ」
仲の悪い二人をよく知るジジイは、やれやれと息を吐いた。
「シャノンとお前さんはわかり合える筈なんじゃがなぁ」
「んな事ある訳ねぇだろ……一生掛かっても無理だって」
「そうかのぉ……」
「そうだって」
頑なに認めようとはしないから、ジジイは一旦諦めた様で。今度はバージルの手元に目を光らせた。
「……そこ、ちゃんと芽は取るんじゃぞ」
「わかってるよ」
面倒そうに喋るが、ちゃんと言われた通り芽を取るバージル。
相棒の事で気持ちが沈んではいたが、何気ない会話で少しは気が紛れた。
他の若者三人も彼を気に掛け、心を寄り添わせて仕事に励む。
そんな優しい環境に、今のバージルは包まれていた。
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