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──ピンポーン
玄関チャイムの鳴る音がする。
早すぎるでしょ、来るのが。
ため息をつきながら階段をノロノロと降りていたらさらに激しく鳴らしてくる。
ピンポン、ピポピポピポピンポーン!
「だーかーらー! しつこいって言ってるでしょ!」
やけくそに玄関を開けると、「よっ!」と手をあげて笑う春希がいた。
本当に、やりたい放題なんだから、こいつは。
思わず頭を抱えそうになる私の横をスルリと抜けて、さっさとリビングへと歩いていく。
なんせ幼い頃からお互いの家は行き来していた。勝手知ったるというやつだ。
春希が通り過ぎた後に玄関の鍵を閉めてリビングへと行けば、我が物顔でソファにくつろいでいた。
「なあ寝坊スケ。どうせ朝も食べずにこの時間なんだろう? ちょっと早い昼飯にしようぜ」
「……当然のように自分も一緒に食べるつもりね」
「だっておばさん、俺の分も用意してくれてるだろう?」
そうなのだ。いつもは私一人分のご飯なのに、今日は春希と二人分。私が大好きなお母さんのハンバーグ。
「ま、座っていろよ。俺が準備してやるから」
「いいよ、自分でやるよ」
「お前、わかってて言ってるんだろう? 毎年の事なんだから大人しく待ってろよ」
そう言われると気恥ずかしくなり、それ以上は突っ込めなくなった。
思わずソファの上で膝を抱える。
「……もう、子供じゃないのに」
「まだ十五だろ? 甘えてろよ」
「自分だって十五じゃん」
「そうだな。同い年だな」
立ち上がり、クシャッと人の頭を撫でた後、キッチンへと向かって行った。
やっぱり子供扱いしてるじゃん。
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