私の話

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   兄の颯や、私。弟の琉雅が喧嘩をしていつまでも誰も謝らないとか、悪いのを分かっているのに謝らないとかそんな時。    来なさい。  そうやって無言で手を引かれて車に乗せられる。大体連れられるのは夜だ。    怖かった。兄らが連れていかれるのは。  私は一回だけあった。  なっちゃんと喧嘩した時に叩かれたから叩き返してそれから、不貞腐れて部屋から出なかったことがある。  その時、家から山奥まで連れられる。  必死に謝った記憶がある。  ごめんなさい。すみませんでした。許してください。  私はなっちゃんが悪いのになぜこんなにも理不尽な目に遭わないといけないのか全く理解できなかった。  山の奥深くまできた。  そこには整備の届いていない、古びたお地蔵さまが羅列している。  人気がなく昼夜問わず不気味だった。  そこで車は止まった。  ここに置いていかれる。そう諦めた時、父はなぜ喧嘩になったか、なぜ謝らないのかと聞かれた。そして、男女の力の差を教えられた。  陵は強い。  だから弱い者を守らなければいけない。  そのために強いんだ。  なつは、女の子で弱い。  守ってやれ。  寛容になれ。  優しくできるようになれ。    父のその言葉を聞きながら当時は寛容の意味が分からず混乱していたがただ、なっちゃんに申し訳なかった。  結局ドライブになって終わった。  私が家から連れ出される時。  なっちゃんは廊下で必死に私の手を引っ張って止めてくれていた。  お願い!やめて!  ずっとそう叫んでいた。  
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