あなたの祈りと、世界の始まり。

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 ***  ●月×日。  日きは毎日かかないといけないと言われたけど、さいしょの日にがんばったら、なんかめんどうくさくなってしまいました。  いっしゅうかんかかないでおいたら、お母さんにバレてしかられてしまいました。  でも、お母さんもひどいとおもいます。人の日きをかってに見るのはよくないことです。お母さんだって、すまほをかってに見たらすごくおこるのに、なんだかりふじんです。  お母さんは、毎日この長さをがんばるひつようはないから、毎日かくれんしゅうをしなさいと言いました。  毎日かくほうがたいへんなんだけど、日きとか、作文とか、そういうのはやらないといけないものなんでしょうか。  そういうのは、とくいなひとだけやればいいような気がします。  今日もかえりにこうえんに行きました。もうさくらはのこってなくて、どこもみどりいろになってしまったこうえんです。さくらの花はすきなので、ちょっとだけさみしいです。  お兄さんは、ベンチで今日もさぎょうをしていました。なぜかいつも同じようなふくをきています。  さいしょは絵をかいているのかと思ったのですが、どうやら絵ではなく、文字をかいているようなのです。  わたしは気になって、ランドセルをしょったままお兄さんにちかづいてみました。お兄さんはわたしにきがつくと、こんにちは、と声をかけてくれました。 「なにをしてるの?」  わたしがたずねると、お兄さんはわらってくれました。 「これはね、おんがくを作ってるんだよ」 「おんがく?」 「うん。きみも、がっこうでおんがくをやってない?こういう、オタマジャクシのもようを見たことはないかな?」 「うん、しってる!」  お兄さんは絵ではなくて、がくふをかいていたみたいでした。オタマジャクシがいっぱい、せんの上でおどっています。お兄さんはこのこうえんだと、いいおんがくが作れるらしいのです。  よくわからないけど、お兄さんは、家よりもこのこうえんがよくて、学校は今お休みしているそうです。お兄さんは中学生なんだとおしえてくれました。 「今、せかいでは、かなしいことがたくさんおきてるから。平和をかんがえる歌をつくりたいんだ」  お兄さんは、わたしにそう言いました。 「でも、うたを作るのはとてもタイヘンだから、いつもすごくなやんでるんだよ。君も、なにかいいアイデアがうかんだら、おしえてね」 「うん、いいよ!」  わたしとお兄さんは、ともだちになりました。  お兄さんのなまえは、アキトさんというそうです。  ……なんか、また、日きが長いようなきがします。長くかくとつかれるのに、みじかくするのもむずかしいです。  どうすればいいのかよくわかりません。
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