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記憶を呼び起こせば、そんな話もあったなと苦笑いをしていた。
冗談ではなかったのか。
そこでサーシャの視線を思い出す。
サーシャのイジメが始まったのも、丁度その頃ではなかったか。
「本当は、サーシャさんの事も話したかったのですが、、、」
残念そうに語るシャーロットの姿に、ミアはまた慌てる。
「あ、その事はーー」
「でも今朝、一緒に登校されてましたよね?お休みの間に仲良くなられましたの?」
問い掛けに、「えっと」と視線を泳がせる。
「たぶん、兄が、何かをしてくれたんだと思います」
今朝、スタンとサーシャは一緒に登校していた。
胸に妙なざわつきを感じる。
スタンは己のイジメを知っている。
加えてサーシャは今朝、「契約」と言っていた。
きっとスタンが何かをしたのだろう。
「お兄様が?」
「はい、、、」
シャーロットは「そうですか」と笑みを浮かべた。
「ミアさんには、お兄様がいらしたのですね」
「あ、従兄弟なんですけど。ちょっと前から一緒に暮らし始めたんです」
「あら、離れて暮らしてらしたのですね」
「はい。前何処に住んでいたかは知らないんですが、冒険者をやっていたそうで、、、」
途端にシャーロットは「冒険者!?」とテンションを上げた。
「じゃあ、何処かのギルドに所属を?ランクはどのくらいなの?」
畳み掛ける質問にミアはたじろいでしまう。
「ランクはDで、確か所属は『グリムソード』だったと思います」
シャーロットは聞いて「『グリムソード』、、、」と僅かに動揺を見せた。
「シャロ、、、さん?」
「ごめんなさい。聞いておいて、ギルドにあまり詳しくなくて、、、」
「私も詳しくはないんですけど、結構凄い所みたいです。合格したと聞いて、おじ様が驚いてましたし」
「おじ様って、警備本部のシュタインズ大佐ですよね」
「はい」
「若くして本部長をされてる優秀な方だと伺っております」
「はい!おじ様もそうなんですけど、おじ様の補佐をされてるエリーさんが本当にーー」
ミアは話しながらテンションを上げてしまい、「あ、すみません」と照れてしまう。
シャーロットはそんなミアを嬉しそうに「フフフ」と笑った。
しかし、その視線が窓の外へと向くと、「あら」と右手で口を塞ぐ。
ミアも視線を追って窓の外を見れば、空を飛翔していくスタンと、お姫様抱っこにて抱えられたサーシャの姿があった。
また胸がざわつく。
「お兄ちゃん、、、」
小さく言えば、シャーロットは何も言わず、ミアを横目で見ていた。
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