第2章ーわがまま淑女に御用心ー

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記憶を呼び起こせば、そんな話もあったなと苦笑いをしていた。 冗談ではなかったのか。 そこでサーシャの視線を思い出す。 サーシャのイジメが始まったのも、丁度その頃ではなかったか。 「本当は、サーシャさんの事も話したかったのですが、、、」 残念そうに語るシャーロットの姿に、ミアはまた慌てる。 「あ、その事はーー」 「でも今朝、一緒に登校されてましたよね?お休みの間に仲良くなられましたの?」 問い掛けに、「えっと」と視線を泳がせる。 「たぶん、兄が、何かをしてくれたんだと思います」 今朝、スタンとサーシャは一緒に登校していた。 胸に妙なざわつきを感じる。 スタンは己のイジメを知っている。 加えてサーシャは今朝、「契約」と言っていた。 きっとスタンが何かをしたのだろう。 「お兄様が?」 「はい、、、」 シャーロットは「そうですか」と笑みを浮かべた。 「ミアさんには、お兄様がいらしたのですね」 「あ、従兄弟なんですけど。ちょっと前から一緒に暮らし始めたんです」 「あら、離れて暮らしてらしたのですね」 「はい。前何処に住んでいたかは知らないんですが、冒険者をやっていたそうで、、、」 途端にシャーロットは「冒険者!?」とテンションを上げた。 「じゃあ、何処かのギルドに所属を?ランクはどのくらいなの?」 畳み掛ける質問にミアはたじろいでしまう。 「ランクはDで、確か所属は『グリムソード』だったと思います」 シャーロットは聞いて「『グリムソード』、、、」と僅かに動揺を見せた。 「シャロ、、、さん?」 「ごめんなさい。聞いておいて、ギルドにあまり詳しくなくて、、、」 「私も詳しくはないんですけど、結構凄い所みたいです。合格したと聞いて、おじ様が驚いてましたし」 「おじ様って、警備本部のシュタインズ大佐ですよね」 「はい」 「若くして本部長をされてる優秀な方だと伺っております」 「はい!おじ様もそうなんですけど、おじ様の補佐をされてるエリーさんが本当にーー」 ミアは話しながらテンションを上げてしまい、「あ、すみません」と照れてしまう。 シャーロットはそんなミアを嬉しそうに「フフフ」と笑った。 しかし、その視線が窓の外へと向くと、「あら」と右手で口を塞ぐ。 ミアも視線を追って窓の外を見れば、空を飛翔していくスタンと、お姫様抱っこにて抱えられたサーシャの姿があった。 また胸がざわつく。 「お兄ちゃん、、、」 小さく言えば、シャーロットは何も言わず、ミアを横目で見ていた。
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