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学院が見えてきた。
一見では見きれない程広大な敷地に、中心に巨大な時計盤が設置された八階建ての建築物。
下方にて通学する生徒だろう人間達を尻目に下降し門の前へと着地すれば、当然ながら注目を集めた。
何だ何だと驚きの目を向けるそれらに、サーシャは得意気な顔で地に降り立ちスタンへ振り返る。
「ご苦労様。それじゃあ、帰りも宜しくね」
これは明確にはサーシャの指示であるが、スタンは目立ちたがり屋の思考は分からんと首を捻るしか出来なかった。
背を向け行こうとするサーシャだが、二人に向かって「お兄ちゃん?」と声が聞こえた。
同時に振り向けば、ミアが動揺した顔で門の前に立っている。
「どういう事?何で、サーシャさんと、、、?」
「あぁ、これはーー」
答えかけたスタンを遮り、サーシャが「あらミアさん。おはよう」と歩み寄る。
「彼は昨日から私が雇用した護衛よ?聞いていないのかしら?」
見つめられ、ミアは視線を下げる。
「、、、知らない」
「家族なのに?何も聞いていないのね」
ミアの表情が曇ったそれを察して、スタンが「おい」とサーシャを呼ぶ。
サーシャは「フフ」と微笑む。
「安心して。"契約"は守るから」
そう言って、ミアの手を取った。
「さぁ、遅刻してしまいますわよ?早く行きましょう」
「え?ちょっとーー」
有無を言わさず手を引かれ、ミアはスタンへ振り向く。
「今日の夜。きちんと説明する」
スタンのそれに、「約束だからね!」とミアは返した。
二人を見送って、スタンは溜め息。
サーシャは本当に約束を守ってくれるのだろうか。
あの様子では怪しい。
けれども、今は信用する他無かった。
スタンは周りを見る。
飛んできた事に驚いているのか、周囲の視線は己に向いていた。
「見せ物ではないんだがな」
面倒そうに吐き捨てると、右手の指先で空を差す。
「『ルック・アット・ミー』」
呟けば、スタンを見ていたはずの生徒達は無意識にて空へと視線をやっていた。
はたと気付いて視線を戻せば、スタンの姿は消えている。
ざわめく生徒達だが、誰一人としてスタンの行方に気付いた者は居なかった。
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