プロローグ 結婚

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 ちらりと拓弥を見上げれば、やれやれというように頭を振っている姿が目についた。  どうやって結婚したのかとか、奥さんとはどう出会ったのかとか聞いてみたいけど、今はもう離婚済だからなぁ。この手の話はさすがに尋ねづらい。  でも、今後の参考までになんかこう、上手い事話を聞き出したりできないかなぁ、なんて思わなくもなかったり。「ん~」と思わず腕を組みながら小さく唸る。  と、それに気付いたのか、拓弥が「透くん?」と不思議そうに俺の方へ振り返った。  ――時だった。 「あの、」と、たかのっぽくんが口を開いたのは。 「「「ん?」」」と俺達大人組の視線が、一気にたかのっぽくんの方に集まる。  先刻のおろおろとした様子とは違い、どこか緊張したような面持ちのたかのっぽくんがそこには立っていた。  未だに背負られたままのベースケースのショルダーを、ぎゅっと強く握りしめている手が目につく。  まるで何か重大な覚悟でも決めたかのように、ごくりと、彼の喉仏が動いた。 「その……、練習を始める前に、皆さんにお願いしたい事があるんですが、話を聞いてもらってもよいでしょうか」 「「「『お願いしたい事』/だぁ?」」」  大人達の盛大なハモりという名のオウム返しに、たかのっぽくんが「はい」と頷き返した。
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