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ベースをするか、ピアノをやっていくかで悩んだ末に、どうすればいいかわからなくなり、休学してしまった事が原因なんだそう。
だがそれも、今年の正月に実家に帰省した際、家族に自身の悩みを打ち明けた事をきっかけに、一旦の落ち着きを見せたようだ。
正月明け、年明け一発目となる練習の際に、『ひとまず大学にだけは通っておきなさいと言われました』と苦笑しながら、たかのっぽくんはそう俺達に話してくれた。
『最終的にどっちの道に進むかは自分で決めなさい、と。ただ、どちらを選ぶにしても音楽の事に関しては学んどいて損はないから、やめる気がないなら大学は最後まで行っておけとの事です』
『ベースをやめろと言われたらどうしようかと、ヒヤヒヤしました』そう続けながら、たかのっぽくんは苦笑を浮かべた。
しかし、その苦笑がどことなく嬉しそうなものに見えたのは、多分きっと、俺だけじゃないだろう。
「一応、必要な書類は全部提出できたので、なんとか来期から復学はできそうです」
拓弥の質問に答えながら、たかのっぽくんがスタジオの扉を締めた。カチャリと、しっかり扉の鍵が締められる。
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