プロローグ 結婚

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(でも、そうだよなぁ。普通に考えて、音大なんてクリエイティブな場所に通ってるんだ。俺達一般社会人とは、歩む進路も異なってくるわな)  むしろ、就職組の方が珍しいのではないだろうか。音大に入る時点で、将来どういった道を歩むのかは、大抵の子が決めてるだろうし。よっぽどな事がなければ、それを変える子は少ないんじゃないだろうか。  進路。将来。これから歩む道、未来。――結婚。 (結婚……。結婚かぁ……)  連想ゲームよろしく、再び思い出してしまった単語に、なんとも言えない複雑な気持ちになる。 (真面目な話。本当はもう、こういう事についてきちんと考えた方がいい年なんだよなぁ)  四捨五入して三十路になるわけですし。25歳を過ぎたら壮年って話もあるぐらいだ。それで彼女の1人も居ないって、比較的まずい気がする。  けどだからって、じゃあ結婚したいですかって言われると、そういうわけでもねぇしなぁ。それに、結婚しなきゃいけないからするってのも、なんかそれってどうなのって感じだし。  いやでも、そんな事言ってたら、一生結婚できない気がしなくもなくもないような……。
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