1章 妹と兄と自主制作

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1章 妹と兄と自主制作

「「「妹/さんの自主制作の手伝いをして欲しい??」」」  野郎3人による本日2度目の綺麗なハモりを前に、たかのっぽくんが「はい」と再び頷き返した。  そうして、自分の周囲に集まるようにしてスタジオ内の床に座っている大人達を見回すと、自身も背筋をピッと伸ばして正座をしながら、「正確には、」と言葉を続けた。 「皆さんのMVを作るので、それを自主制作作品……、えぇっと、妹自身の実績として就活に活用させて欲しいんだそうです。『ポートフォリオ』の制作をするのに、そろそろ本格的に何がしか動きたいからとかなんとか……」 「妹さんって言うと、『あの時』会った彼女の事だよね」  俺の左横に座っていた拓弥が、確認するようにたかのっぽくんに尋ねた。  拓弥が言う『あの時』がいつの事なのか、たかのっぽくんにはすぐにわかったらしい。「えぇ、そうです」とまた頷きが返される。 (『あの時』っつーと、あれだよな。たかのっぽくんの妹ちゃんだっつー子が、たかのっぽくんを探して俺達の前に現れた時の事だよな)  頭の中に、以前1度だけ顔をあわせた事がある少女の姿を思い浮かべる。
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