1章 妹と兄と自主制作

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「教職のポートフォリオって、そんな風に使われてんのな」 「え。そんな風にって……。そういうもんじゃねぇの?」 「いや、全然違ぇけど?」  俺の質問に、優作が首を横に振り返す。  なんですと。  予想外の返答に目を丸めていれば、「まぁ、資料集って点で言えば同じような物だけどな」と、優作があぐらをかいた自身の膝上で頬杖をついた。 「(SE)の場合、自分で見るもんっつーよりは、企業に見せるもんって感じだな」 「企業? なんで?」 「企業に自分を売り込む際に『自分はこういう事ができる人間です』って示すために使うんだよ。まぁ、参考資料みてぇなもんだな。こういう仕事ができますよって、相手に提示すんのに使うわけだ。これこれ、こういうもんを作りました、こういうプロジェクトに参加しましたっつー、自分の実績を目に見える形にしてまとめて提示すりゃあ、相手から仕事が頼まれやすくなんだろ。  基本的にはデザイナーみてぇなクリエイター職の奴らが使うもんだが、最近はエンジニアでも求められる場合があるからな。俺も一応、簡単には作ってある」
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