1章 妹と兄と自主制作

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「つってもエンジニアの場合は、フリーでやってる奴や転職をする奴が使うもんで、俺みてぇな企業で落ち着いてる奴は滅多な事で使わねぇけど」と、優作が肩をすくめながら説明を締めた。 「へー、SEのポートフォリオってそんな感じなんだ」  確かに俺ら教師間での使い方とは違うな。  教師でたとえるなら、職歴みたいなものだろうか。どこそこの学校で、いつからいつまで勤務してましたー、みたいな。  教師……、特に公立校担当の教師は数年毎に市内の学校へ異動する事が定められているので、実は人によっては結構頻繁的にいろんな学校を練り歩いてたりするのよね。意外と異動が多い職種なのよ、教師ってのは。 「就活で使うってなると、役割的には教職のそれよりはSE(こっち)寄りの使い方になんじゃねぇの。たかのっぽくんの妹ちゃん、将来はクリエイター系の職に就く感じか?」 「あ、はい、そうです」  優作に話を振られたたかのっぽくんが、あわあわと返事をする。 「妹は芸工……、えっと、その、芸術工科大学と呼ばれる大学に通ってまして」と、しどろもどろに再び説明を始める。 「映像学科という、映像関係を専門に学ぶ学科の生徒なんです。いろいろやってるみたいなんですが、本人はアニメーションに関する事を主に勉強してるとか……、すみません、詳しい事は俺にもよくわからないんです」 「あんまりそういう話は妹としないので」と、申し訳なさそうに言葉が続けられる。
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