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重たい防音扉が開かれた先、そこから現れたのは絵に描いたようなイケメンだった。
プラチナブロンドの髪に、西洋風王子様のようなイケメンフェイスをした青年。拓弥のように細身かつ優作の身長をも裕に超える長身も相まって、パッと見、モデルか何かと言われれば信じられてしまうレベルの美青年だ。
その背に背負っている黒いベースケースさえなければ、きっと100人中100人が彼をモデルか俳優とでも思う事だろう。
「お。たかのっぽくん、大学お疲れ~」と優作がいの一番に口を開いた。
「お疲れ様」と拓弥も後に続く。「書類、無事提出できた?」と、俺が落ち込んできた時とは全く違う、善意100%の質問がさらに続けられる。
そんな大人達に、「えぇ、まぁ、はい。なんとかなりました」とイケメン――、たかのっぽくんが苦笑しながら答えた。
たかのっぽくん。
現役音大生であり、うちのバンドのベーシストである青年だ。
祖父がスウェーデン人で、祖母がドイツ人。
そんな2人の間にハーフとして生まれたのが彼のお父さんで、そのお父さんが日本人の奥さんと結婚して生まれたのが、たかのっぽくんと、少女漫画のイケメンも度肝を抜かす血筋のイケメンだ。
さらに本人曰く、代々クラシック音楽家の家系で、祖父と父は2世代続けてピアニストとしてご活躍中。たかのっぽくん自身も、音大ではピアノを専攻しており、作曲や編曲に関わる事をメインに勉学に励んでいる。
……とはいっても、実はつい最近までは、休学中だったんだけどね。
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