嘘を現実に

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 あの日から俺の人生は大きく狂った。テレビでは連日、友人の妹を誘拐監禁した変態高校生と報道がなされ、ネットでは顔写真が出回った。俺は更生施設に長らく収監された。  両親は自責の念に駆られて自ら命を絶った。俺に判決が下される前日の事だった。それから二年後、突如俺は社会に放り出された。理由は誤認逮捕だった。  友香と紗代が共謀して俺を罠に嵌めたのだという。俺が吐いたエイプリルフールの嘘の内容を、友香はこっそりメールで紗代に送信して自演したのだという。  「こんなに大事になるなんて思わなかったの。大人達も騒ぎ出して、怖くなって言い出せなくなったの」  これは後日届いた友香からの謝罪文の一文だ。  俺は帽子を目深に被り、サングラスとマスクを着用してその時を待った。  まもなくして校門から中学生となった紗代が現れた。姉の中学生時代とそっくりな美少女に成長していた。校門脇に停まっていたセダンの窓から大人になった友香が手を振る。笑顔で駆け寄る紗代が同級生と一言交わして車に乗り込んだ。全て計画通りだ。  俺は前方車に感づかれないように距離を開けて後を追った。  二人が現在も実家で暮らしている事は調べがついていた。両親は以前と同じ会社に勤め、友香は地元の大学に通いながら夜は飲み屋でアルバイトをしている。飲み屋も大学も休みのこの日は紗代の学校まで迎えに行くのも知っていた。  
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