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さ。帰るとしますか。
ガタっと物音がしたのか、複数の女の子達が私を見てくる。
「ねぇ、神無月さんも初恋はした事あるでしょ。」
複数の女の子達に囲まれていたであろう中心にいる一人の娘(コ)が話しかけてくる。
その彼女を見た途端顔が引き攣るのがわかった。
確か、彼女。
あの男が好きなのよね。
あの時の記憶は消えているけど、どうやら私が仲良くしていると勘違いをしているらしく、何故か恋敵になっている。
確か、名前は。
確か中川さんだっけ。
親が資産家だとか。
だったかな。
私にとっては興味がないのよね。
「止めなさいよ、香穂梨(かほり)。いるとしても如何にも田舎から来た彼女じゃない?きっと私達とは縁がないに違いないでしょ。」
「あ、それもそうよね。ごめんなさい、神無月さん。」
中川さんの側にいた女の子と目配せをしつつ笑っている。
他の女の子達も笑いを噛み殺しているのか。
その光景を見て心の中で深く溜息をついた。
まあ、いまだに三つ編みをする高校生っていませんからね。
あの男の命令だから仕方がないのよね。
私はわからないけど、お祖父ちゃんにかなり似ているらしい。
それを防ぐ為にわざとダサい格好をと提案してきた。
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