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第8話 変な三人組
「死神さんって、人が亡くなるのをたくさん見るんでしょ。メンタルケア大変そう」
「それが仕事ですから。でも、わたくしは、亡くなる人ができるだけ苦しまないように、丁寧な仕事を心がけています」
「そういう気持ち、大事よね~ じゃ、私の時はケージさんにお願いしようかな」
「え!? いいんですか? わたくしは構いませんが」
「だって、こういうの知り合いに頼んだほうがいいじゃない。約束ね」
「はい、承知いたしました」
結花はケージが死神だということを疑うこともなく、当たり前のように会話をしている。が、最後の言葉は聞き捨てならない。
「結花! 縁起でもないことを言うもんじゃない。まだ若いんだから」
結花を軽く叱り、何気なくケージが見ていた新しい墓石に目をやる。
(享年 十二歳!!)
俺でさえ胸が締め付けられる。先ほどのケージの表情はそういうことだったのか。なんとなくこのまま帰るのは心苦しい気がして、ついケージに声をかけた。
「ケージ、今日はオフなんだろ? この後、身内でパーティーをするんだ。よかったら気分転換で一緒に来ないか?」
「え!? このわたくしが? 本当にいいんですか?」
「サプライズゲストってことで。ところでお前、飲食は大丈夫か?」
「数十年くらいなら飲食しなくても平気ですが、いただくのはいつでも大丈夫です」
「死神さんってすごいのね」
そんなことを話しながら、歩いて五分ほどの駐車場へ向かった。
「直江様、すっごい車じゃないですか」
「だろ、俺たちの車じゃないんだけどな」
俺たちが乗ってきたのは、誰が見てもわかるスポーツカー。
結花が運転席に座り、ケージを後部座席に乗せる。
「後部座席は狭いけれど、少し我慢してくれ。三十分ほどで着く」
「はい、大丈夫です」
「それと、エンジン音がうるさいから細かい話は向こうへ着いてからな」
「はい、お願いします」
大きな排気音を残し、変な組み合わせの三人が乗った車はお寺を後にした。
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