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「シルエット、大丈夫か?ひどくうなされていたぞ・・?」
隣で眠っていた夫のセツナが心配そうに見つめる。
「怖い夢を見ていたの・・」
「シルエット・・」
セツナがシルエットを抱きしめる。
「大丈夫だ。シルエットは俺が守る・・」
「ありがとう、セツナ・・」
シルエットはセツナに抱きしめられると安心して眠りについた。
小さな島国ディーヴァで暮らすシルエットとセツナは共に24才の新婚だ。
風になびくような真紅の長い髪に翡翠色の瞳のシルエットは香水が大好きで耳には紫色のイヤリングが飾られており、お気に入りの白いワンピースはシルエットの美しさを際立てている。
短い銀色の髪に輝くような金色の瞳が特徴的な夫のセツナは黒いシャツに白いベスト、白いズボンといった服装であり、妻の影響で香水が好きになった。
セツナは白魔法と呼ばれる治癒や防御に徹した魔法を得意とする魔道士であり、魔道士長からもその実力を認めらたセツナはこの島でただ1人の「白魔道士」と呼ばれる存在である。
20歳の時に出会った2人は24才で結婚し、結婚式からはまだ半年しか経っていない。
妻のシルエットは魔法は使えない一般人であり、なぜかシルエットには過去の記憶がほとんどない。
幼い頃の記憶も「辛い気持ちで過ごしていた」ということしか思い出せず、中でも16才の時の記憶は全て失っている。
はっきりと思い出せるのは17才からの記憶であるが、シルエットは魔道士から避けられる人生を送っていた。
だが、セツナだけは他の人と同じように接してくれた。
そして、愛してくれた。
セツナが居てくれればシルエットはただそれだけで幸せだった。
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