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セツナが得意とする白魔法は魔道士からは好まれない種類の魔法である。
それは、白魔法が攻撃の魔法を扱えないからだ。
魔道士は基本的に己の魔法の強さを求める。
戦う術がない白魔法は嫌われ、魔道士達は攻撃魔法に特化した黒魔法を好んだ。
10代の頃からセツナは「平和主義」と罵られた。
セツナは魔法で誰かを傷つけることが好きではない。
だが、魔道士というものは互いの力量をはかるために常に争う。
魔物が存在した時代には討伐のために魔道士はみな黒魔法を使っていたが、現在では魔道士としてのただのプライドと化していたのだ。
セツナは白魔法だけではなく魔法道具の開発にも積極的であった。
魔法道具とは魔法を使えない人にも使用できる魔法で作られた道具のことであり、この島に初めて誕生した魔法道具は誰でも乗ることができる「魔法の絨毯」である。
セツナは魔法が使えない人にも魔法の素晴らしさを知ってもらいたかったのだ。
「魔法は誰かを傷つけるためではなく、誰かを助けるためにあるんだ」
それがセツナの口ぐせだった。
2人の寝室にはセツナが作った魔法道具のカレンダーが飾られている。
今日の日付がキラキラと輝くようになっており、大切な記念日などを間違えたりしないようにと言う願いを込めて作られたカレンダーである。
シルエットはカレンダーを見るたびにセツナと夫婦になってから過ごした日々を数え、心が喜びで満たされた。
いつものように、シルエットが朝食の準備をしているとセツナが寝室から走ってくる。
「すまない!寝坊した!」
「大丈夫?最近、お仕事が忙しいから疲れているのかもしれないわね・・。心配だわ・・」
すると、セツナがゆっくりとシルエットに近づく。
「セツナ・・?」
セツナがシルエットを優しく抱きしめそのまま口づける。
「心配されて嬉しくなってしまった・・!シルエットは今日も可憐だな・・」
セツナの言葉に頬を赤らめたシルエットに再びセツナが唇を重ねる。
「好きよ、セツナ・・」
お互いを強く抱きしめながらシルエットとセツナは何度も口づけた。
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