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 生徒たちの声が一段と大きくなったとき、教室の扉が開いた。 「ごきげんよう、生徒諸君——」  ロイド教授だ。かなり小柄な若いベータの教授で、黒いマント型の教授服を着ている。 「何を騒いでいるのですか?」  教授は首を伸ばしてユリアの方を見た。  ——ああ、よかった。きっと教授が叱ってくれる。  そう思ってホッとした。  だけどそれは違ったのだ。 「じゅ⋯⋯、授業を始めますよ⋯⋯」  教授は椅子に座わると何事もなかったかのように分厚い魔法書を広げた。ボソボソとした声で話す。
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