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 だから反抗することは絶対にできないし、なによりリドルたちが集団でからかってくるので、反抗しようにも太刀打ちできない⋯⋯。  リドルもそれがわかっているのだろう。小さなきっかけを見つけてはユリアを虐めつづける。  ——もしも父上と母上の財産の証明書があったらきっと違った。きっと、すべてが違った⋯⋯。  ユリアはギュッと唇を噛みながらそう思った。  ユリアの両親がユリアに財産を残したということを証明する書類がもしもあったならば、従兄弟家族の横領を告発することができたはずだ。だけど証拠となるものがなにひとつないので、ユリアにはなにもできないのだ。
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