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別れ
「ごめん」
たった三文字にすべてが詰まっている。
一人で住むには狭すぎる部屋に見慣れた顔はもういない。
物も減ってしまった。
正直心当たりはあった。
「なんで自分と」いつも自問自答していた。
そんな僕を彼女はいつも受け止めてくれていた。
そうなることで満足してしまっている自分が嫌いになるとともに彼女に依存してしまっていた。
そんな中、月始めの今日。机の上にある紙に僕は殺された。
この三文字に僕はすべてを否定された。
生きた心地がしなかった。彼女の痕跡を探し続けた。
そこにあるのは封筒と、お金だけであった。
『次は片瀬江ノ島、片瀬江ノ島、終点です。お忘れ物なさいませんようご注意ください』
無機質な音がそう告げる。彼女と出会い、思いを伝えたこの場所が最後にふさわしい。
この綺麗な町を汚すのは後ろめたいが、最後はここでと決めたのだ。
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