20最後の試験で

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 踵を返して医務室を飛び出す。  どうしてこんなに苦しいんだろう?ヴィルの事なんかどうでもよかったはずじゃない。  優しさも全部見せかけ、指輪もドレスも…   「こんなもの!」  私は留めていた蝶の髪留めをむしるように取った。思い切り投げつけようかと思ったが髪留めに罪はない。  そう思い直して制服のポケットに押し込んだ。  買ってもらった指輪は大切にしまってある。この学園の中に指輪をはめてくる者はいない。  だから私もみんなと同じようにしていたけど本当にはめていなくてよかった。  ランチは彼と顔を合わせたくなくて軽食をもって一度寮に戻った。  空腹を感じてはいなかったが試合があるんだもの何か食べておかないとと思ってその塊を口の中に押し込んだ。  まるで砂を噛むような感覚に陥りながら…  その理由はちっともわかりたくなかった。  彼に好意を寄せていたなんて思いたくなかった。認めたくなかった。  試合が始まる時間が近付いて私は部屋から練習場に急ぐ。  女子寮の入り口の掲示板の前を通り過ぎるときやっとその張り紙に気づく。
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