1婚約者気取りはやめてください

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 あんな姿を見たんだものもうとっくに婚約はなかった事になったんじゃ?  待て。最初は乗り気でなかった兄が彼の母親が公爵家の出目と知って心を動かされないはずはない。  もしかして私の知らない間にすでに婚約が整ったとか?  いくら何でもありえないから!  私はいやだって言ってるのに私の気持ちなんてまったく意味ないって事?  私は脳内でひとりそんな繰り言を繰り返す。  「それを言う?安心しろ。俺達婚約が決まったって。まだ知らされてない?でも本当だから心配するな」  「えっ?断ったんじゃないんですか?」  「断るはずないだろう」  「でも、どうして…」  そもそも婚約を申し込んだ話だって彼が学園に来た時初めて聞かされたのは3か月前。  いきなり。顔も知らない相手から。  私は騎士練習生として練習を終えて汗びっしょりになって髪も顔もクシャクシャのときだったからあわてたなんてものじゃない。  まったく、あの時は顎が落ちるかと思った。  おまけに彼の第一声ときたら…と言ってもこれはまだ私と気づいていなかった時で…
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