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まだ見える
「お兄さん、リサね、ピアノを習い始めたの」
「お兄さん、リサ、算数のテストで100点をとったのよ」
「お兄さん、私、背が伸びたでしょう」
「お兄さん、今、私、髪を伸ばしてるの、どう? 」
お兄さんと会う度に、リサはぐんぐん大きくなっていった。
*****
「あの子、まだ、お前のこと見えるんだな」
コウノトリ局で、手紙の仕分けをしているときに、同僚のハドリが言った。
「そうなんだよ。もうずいぶん大きくなったのに…」
「幼い頃は、俺たちのことを見える子はたまにいるけど、そういう子たちも、大きくなるにつれて見えなくなって、いつのまにか忘れてしまうものなんだけどな。
まさか、名前を教えたり、羽を食べさせたりしてないだろうな」
「してないさ。…ってか、そう思う。名前は絶対教えてないし」
「でも、もうあんなに大きいのに、見えるなんておかしいぞ」
確かにそうだ。
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