卒業2

1/1
前へ
/11ページ
次へ

卒業2

「私…、私は…」        リサはますます真っ赤になった。            ああ、そうか。    もう卒業だな。この子も、俺も。      羽を取り出したほうが良さそうだ。          でも、いいだろうか。    一応、リサに聞いてみてから…。           リサに向かって手を伸ばしかけた時、リサが叫んだ。         「私はっ、お兄さんが好きなのっ! 」          手が止まった。    空気が止まった。    心が止まった。                   「スガイが、私に言ったこと…。    ずっと見てたり、少しでも会えたり、話せたりすると、嬉しかったってこと。    考えるだけで、幸せだったってこと。    ずっと好きだったってこと…。        私も、私も、ずっとお兄さんに、同じこと感じてた…。        だからっ…、お兄さんっ…」            リサが思いきって顔を上げた時、その唇に優しい口づけが降りてきた。               このくらい、いいだろう。    最初で最後だ。      どのみちこれで、リサは、忘れてしまう。          まるで最初に出会った時のように、突風がざあっと、ふたりの周りに吹き荒れた。          やがて風がおさまると、そこにはリサひとりしかいなかった。      
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加