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第0章 序章。
西暦1638年05月05日。
満天姫「…私は恋をしただけなのに…
運命は…残酷ね…」
誰よりも家族を…
2人の夫を愛していた…徳川家康の姪であり養女でもある満天姫がこの日50歳の生涯を閉じました。
津軽信英「母上…お疲れ様でした。」
津軽藩の分家を継いだ満天姫の息子である津軽信英は継室である神楽と共に母親である満天姫の最期を看取り…
神楽「義母上様は私のような出自不明の妻に対しても優しく接して下さる方でした。」
神楽は信英の継室にはなるが出自不明の女性で名前も江戸時代では聞き覚えのない名前をしており…
信義「津軽藩と所縁のある山口家から妻を迎えているのに…それはあんまりではないのか?」
本家である津軽藩の藩主をしている異母兄の信義は信英の判断を…否定したものの…
津軽藩家老の大道寺家へ養子として迎えられた異父兄である大道寺直秀は、
大道寺直秀「本気で愛したなら…理屈なしに彼女を守るべきだと俺は…思う。」
異父弟である津軽信英の判断を指示し
満天姫はそんな息子にあきれながらも
満天姫「直秀、藩主に対して無礼ではありますが…信英が後悔しない道を選びなさい…。」
信英が初めて知った人を愛する気持ちを咎める事はせず優しく見守る事にしました…。
信英「神楽を継室に迎えると言った時、反対した異母兄上を説得して下さったのは母上と異父兄だった…」
ちなみに…神楽と出逢った頃の
信英には山口直堅の娘で百華という名前の正室がいました。
百華「確かに私達夫婦には恋愛感情なぞ存在しておりませんが…どうして…私のような者がおりながら…妻を変えるような真似をなさるのです?それは…裏切りではありませんか?」
山口直堅「…百華を離縁して神楽という娘を継室にするなぞ…山口家に対する裏切りではないか?」
山口直堅と百華は津軽藩の藩主である信義と満天姫に対して何度も…苦情を入れましたが信英の気持ちは揺るがず百華は哀しみのあまり…
直堅「百寿院…出家する事にしたとは…再嫁先なら俺が何とかするのに…早まるではない…百華…」
百華は出家の道を選択し山口家との縁は途絶えてしまいましたが…
満天姫「これも…運命かも…」
満天姫は遠くを見つめながら…
ため息をついておりました。
信英「母上には支えとなる人間がいないから俺達が母上の支えにならなければならない…」
信英は11歳の時に父親である津軽信枚を亡くしているため母親である満天姫と共に信英のサポートをしていたのが
大道寺直秀「愛する人を後悔のないように愛する方が幸せだと俺は思う。」
信英と神楽の幸せだけを願う
福島正之〈別所重宗と福島正則の妹であり重宗の正室である梢との間に産まれた福島正則の甥であり養子でもある〉と満天姫の間に産まれ…信英とは異父兄弟となる大道寺直秀。
津軽信義「津軽藩の事を考えるならば…勝手な行いなどしないで貰いたいのだが…」
津軽信枚とその正室だったものの側室へと降格する事になった辰姫との間に産まれた石田三成の孫でもあり信英の異母兄である津軽信義でした。
この2人の兄の内、異母兄であり信英の母親である満天姫が再嫁して来た事で母親の辰姫がどれ程悲しんでいたか知っている津軽信義は信英の事も満天姫同様怨んでおりました。
だからこそ…
津軽信義「裏切り行為ばかりしている女性の子どもは基本的に裏切る者だからな…」
まだ生きてはいるものの本当の意味で信英のサポート役かと言われると…違うと言わざるを得ない部分が残念ながら…多々あるのでございます。
しかし…いつも信英の味方をしていた
大道寺直秀に関しては…
神楽「最初、義母上様から義兄上様の事をお聞きした時、驚きましたが…その反面哀しみに歪んだ顔をなさっていた事がとても印象に残っています。」
数々の裏切りが産んだ悲しすぎる
女性の人生とただ一途に夫を愛し
夫からも大切にされていたものの
戦国乱世であるが故の切なくて悲しい歪んだ物語がそこにはありました。
満天姫「だけど私は津軽家に再嫁して幸せでしたよ…」
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