潤いのない生活side:謙太

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逃げるように去って行った課長の背中に向けて、舌打ちをした。 課長が置いていった仕事は、来週に控えた社の重要会議に纏わるもの。 議事運営にあたってのシナリオの作成、質疑応答への対応、想定問答の作成……等々。 正直、別の案件も抱えていて手一杯だ。 自分でやるか、他の奴に頼んでくれれば良いものを…… 「………ふぅ…」 酷使し過ぎた目を労るように眉間を抑え、疲れを和らげるように軽くマッサージした。 今日は残業確定か。 どいつもこいつも身勝手な奴ばかりだ。 特に、彼女に対して恋愛感情はないとか言っておきながら 『実は俺も凪の事好きだったのよねぇ~』 なんて、あと出しじゃんけんみたいな反則技でかっさらっていったあの男。 本当に腹が立つ。
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