潤いのない生活side:謙太

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一服する為に喫煙ルームに行けば、小憎たらしい奴の姿があって、苛立ちが倍増した。 「お疲れ様です。よく会いますね」 いつもの如く、携帯を弄る彼の隣に並ぶ。 「お疲れ様です。青柳さんもサボり?」 「………貴方と一緒にしないで下さいよ」 年齢より若く見える彼が愛想よく笑顔を向けた。 見た目からしてずっと俺より年下だと思っていたのに、ひょんな事から年上だと知ってからは、彼に対して一応敬語で接してる。 見た目の割りに妙に落ち着いてるな……とは思っていたけれど、まさか俺より2つも上だったとは。 人は見掛けによらないものだ。 「彼女にLINEですか?」 「ん、まぁね。今日の飯何?って」 「………良いですね。新婚さんは」 俺の皮肉に「ははっ」と笑う彼の左手薬指には、プラチナのシンプルなリングが嵌められている。 きっとそれと同じでサイズ違いの物が彼女の薬指にも嵌まっているのだろう。
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