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「貴方が結婚した事で、悲鳴を挙げている女子社員、かなり多いですよ」
「あっそう?まぁ、俺の知ったこっちゃないけどねぇ」
「そのせいで彼女が悪く言われて困る。地味だとか」
確かに華やかさには欠けるけど、品があるし、とても可愛らしい女性だと思う。
「まぁ、言わせておけばいいんでない?」
最愛の妻が貶されているというのに、彼は余裕たっぷりに笑っている。
その余裕っぷりが俺としては非常に鼻につく。
「来月の挙式で、全てが明らかになんのよ?想像するだけで笑えちゃうね」
「………というと?」
俺の問いに、彼は「考えてご覧よ」と、笑いを含ませる。
「何も知らずに出席した職場の面々が花嫁の父として現れた副社長を見たら…………十中八九、腰抜かすよね」
心底楽しそうに言う彼に対して、俺は顔を引きつらせずにはいられなくて。
「…………なるほど。相変わらず質が悪い男だ」
嘆きと共に、溜め息を吐いた。
「だから挙式の前に入籍した訳ですか…」
「んー……別に。早く一緒に住みたかっただけ」
彼は「それに…」と、付け加える。
「………あのハゲ………じゃなくて、副社長が式の内容に口を出しまくるから、決まるもんも中々決まらないってのもあってねぇ…」
苦々しげに呟かれた言葉に、思わず吹き出してしまった。
彼は彼で大変なのかもしれない。
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