潤いのない生活side:謙太

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課長から押し付けられた仕事を終える頃には、すっかり陽は落ちていた。 歪な形の月が夜空に浮かんでいる。 それを眺めながら車を走らせ、会社から一番近いコンビニに寄った。 木曜日とあって、疲れがピークに達しつつある。 余計な仕事のお陰で肩が凝り固まって、体も怠くて重い。 こんな日は自炊なんてする気になれなくて、コンビニ弁当を手に取った。 それから気休め程度に栄養ドリンクも。 今頃あの彼は、彼女の手料理に舌鼓を打っているだろう…… そう考えたら、自分の現状に虚しさを覚えずにはいられない。 「………はぁ…」 レジに並びながら思う。 我ながら潤いのない日常だ、と。
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