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「はぁ……」
本日何度目かの溜め息を吐いた。
今日は真っ直ぐ帰る気になれない。
携帯の画面に映る大好きな彼の画像で癒されながら、小腹を満たしに通り掛かりのコンビニに入る。
と……
「っ?!」
入り口の自動ドアが開いたと同時に肩に衝撃があった。
どうやらコンビニから出る人と擦れ違い様にぶつかったらしい。
今のは完全にぼんやりしていた私が悪い。
にも拘わらず、相手は「ごっめんねぇ~」と我先に謝った。
「大丈夫だった?」
問い掛けに小さく「はい…」と返しながら、顔を上げた私の目に信じられないものが映る。
思わず「嘘でしょ?!」と叫びたい所を必死に堪えた。
「でもキミの方も歩きスマホはダメだよん。気を付けてね?」
破壊的に可愛い笑顔で優しいお説教を残して去って行った彼は、私が愛して止まない大人気アイドルグループの推しメン、レイくんによく似た人だった。
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