13人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃあ自白したのは嘘だったというのか?」
「そうです。エイプリルフールの嘘です」
「家族、会社、同級生、近所。全員口を揃えてお前の嘘は聞いた事がないといっていた。だからお前は嘘なんてつくわけがない。お前がやったんだろう。素直に認めろ!」
「だからエイプリルフールの嘘なんです」
「そうか。じゃあやってないっていうのも嘘なんだな?」
「これは違います」
「それも嘘なんだろ? 今日のお前の言葉はみんな嘘だ」
「だから……」
どういったら信じて貰えるのだろうか。嘘なんてつかなければ良かった、慣れない事はするもんじゃない。直人はいまさらながら後悔した。
「いったいこの人たちは誰なんですか。僕と関わりのある人なんて1人もいませんが」
刑事は写真を指さし説明を始めた。
「こいつは投資家だ。投資セミナーもあちこちで開いている。そしてこの女はキャバクラの従業員だ。次は新興宗教の教祖らしい。次は市役所職員、最後は医者だ」
「僕は投資はやっていませんしキャバクラにも行きません。宗教は家のお寺と近くの神社に行くくらいです」
「市役所や医者は行くだろう?」
「殆どの人が行くんじゃないんですか」
とりとめのない取り調べだった。刑事は最初から直人を犯人扱いしている。取り調べが終わると直人は留置場に連れて行かれた。しばらくは家に帰れないと刑事から告げられた。
最初のコメントを投稿しよう!