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友美
「邪魔者はいなくなったわ」
友美は嬉々としてご馳走をテーブルに運んだ。そこには友美よりも若く見える男が座っていた。
「本当に旦那さんが犯人なの?」
「知らない。でもこれで離婚できるわ。裕くんと一緒になれる」
友美は料理をテーブルに置くと裕に抱きついた。
「離婚したいなんていったら理由を根掘り葉掘り調べられるわ。そうしたら私が浮気してたのがパレちゃう。きっと慰謝料請求されるわ。でもアイツが凶悪事件の犯人だったらすんなり別れられるでしょ」
「犯人じゃなかったら?」
「疑われるような人とは一緒にいられませんっていって、慰謝料たくさん貰って離婚できる」
「そっちの方がいいね」
「ええ。実際あの人に殺人なんてできるわけがないのよ。バカがつくほど真面目な奴なんだから。でもエイプリルフールのお陰で嘘をついてくれた。それも私たちに都合のいい嘘をね。神様は私たちの味方なのよ。愛は勝つのね」
無邪気で弾けるような微笑みを友美は裕に見せた。その顔を胸に抱え込み、裕はにやりと笑った。
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